長く感じられた日の記録

06:00 最初に目覚めるのはいつも娘。6時30分まで起きようとしない親の横で、与えられた文机の上で塗り絵を始めようとするも、お気に入りの筆記具が見つからないので母に探してくれと小声でせがむ。それで妻が起こされ、娘と早朝から口論をはじめる。その横で…

晴々とした気持ちに

年度末のある日の昼休み、国会の中にあるJTBで、ゴールデンウィークを避けての京都旅行の手配を済ませ、代金を支払って職場に戻る帰り道、携帯電話に着信があった。それはついにその時が来たことを告げる電話だった。落ち着いて妻に連絡してから、予定の調整…

寂しさと成長

モントリオールから戻って早5ヶ月。新しい住まいの周りには公園があり、銭湯があり、何より多くのラーメン屋がある。休みのたびに一軒ずつ試しているところ。ある日、そのうち一軒が突然の閉店。中年の夫婦がやっており、ほんの数日前に初訪問したばかりだ…

残酷な月

4月はあっという間に過ぎて行った。試験よりもレポート執筆のほうが向いていると思ってほとんどの科目をレポートによる評価のものにしたせいで、朝から晩までパソコンに向かう日々だった。気がつけば街を覆っていた雪は消えており、春が来ていた。せめてもの…

トムヤムラーメン

秋学期最後の期末試験の朝、不意に友人の訃報を受ける。試験のプレッシャーと相まって、実感が沸かないまま必要な連絡をし、頭が整理できないまま試験に臨んだ。三時間半の間、持ち込んだノートパソコンに思いついたフレーズや判例や教科書の記載を少しアレ…

寛容であるための努力

日本を離れて1週間経った。3週間北欧に出張したことを思えばまだどうということもない。大学に行って学生証をもらい、家探しをして、携帯電話の契約をした。相手の意見をまず聞き出そうとする昔からの癖が抜けないので、家も、携帯のプランも、"It's up to…

松本へ

中央線のいいところは、高尾と東京を往復するオレンジの列車に混じって、線路のずっと先まで行く列車が走っているところ。いつもは通勤や買物に使うだけの列車だが、小さな旅にも使えるという自由がある。 午後6時過ぎ、きれいになった駅構内のお店で、缶ビ…

20代の最後に

2001年8月の誕生日前夜に書いた日記をウェブ上で探したが、どこにもアーカイブされていなかった。代わりに見つかったその頃の日記や掲示板を見返して、当時は発言がより過激だったんだなと感じた。20代の10年間は変わらないようでそれなりに変化のあった時…

出来事

訪問先の図書館の方から「あなたの国が大変なことになっている」と聞かされて初めて知った。 国際電話のかけ方をよく知らず、中央駅に行ったら公衆電話に日本語の記載があって、心の底からありがたく思った。 時差が8時間あるので、妻を深夜に叩き起こす羽…

五日目

「盛楼閣」の冷麺と「白龍」のじゃじゃ麺を食べるなどしつつ盛岡市内を観光、何だか色んなものを扱っている光原社でコーヒーを飲んだりした後、仙台へ。ここから先は通常の里帰りであった。

四日目

素泊まりということで宿での朝食はなし。宿の人に車で陸奥港の市場まで送ってもらった。縁日のように様々な露店が立並ぶ中を散策し、コーヒーを飲んだり、骨董屋を冷やかしたりした。それから屋内市場に行き、蛤の貝殻に詰められたウニや、白身赤身の魚、こ…

三日目

旅館の朝食には、帆立貝の殻に味噌と卵と葱を入れて煮たものが出た。美味しいが、さらに味噌汁がついてきたので、使い分けに困った。弘前まで山を下るバスを待つ間、旅館の前のみやげ物屋で「ゆできみ」を買い求めて食べた。ここまで甘いとお菓子のようだ。…

二日目

あけぼのの車内放送は夜の間行われず、翌朝秋田駅につくころから再開する。そのころに大体目が覚める。昨夜買ったパンを食べながら、テレビをつけると、「寅さん」シリーズのいずれかと、別の邦画との2チャンネルがそれぞれエンドレスリピートされているこ…

あと一日

本能が勝手に惰性で動き出すのは仕方のないことだ。理性がなすべきは、本能により動かされていることに早く気付き、気付き次第コントロールをとり戻すこと。何度でも。油断ならぬ。

北東北旅行

今年の夏季休暇は、帰省を兼ねた旅に費やされた。会社で着替えて、上野から「あけぼの」に乗って東北へ、という数ヶ月前にも実行したばかりの旅の始め方。違うのは、今回の個室はあけぼの号で一番値が張る部屋だということ。といってもシャワーすらなかった…

週末の一人旅

木曜の夜、職場でスーツから着替えてそのまま旅に出た。本当は金曜の夜に出発したかったが、旅行を思い立ったのが遅くて、夜行列車のきっぷが手に入らなかったのだ。木曜の夜ですら、個室寝台は最後の一枚だった。来年には青森まで新幹線が開通する。これは…

普天間

呼吸を止めているとき、外界の刺激が遮断されて、外界から切り離された形で物事を考えることが出来る。 その代り、その状態から再び動き出して外界の刺激に接するとき、大きな緊張を感じる。 一旦停まったものを再び動かすには、大きな力がいるのだ。 なぜ呼…

車窓から

職場でとっている新聞に載っていたコラムを読んで、びっくりした。世界には完璧なものがあり、それが手に入らないからといって何もしないでいるという考え方のひとは、現代社会が生んだ歪みであるとかいった内容だったと思う。自分が日ごろから悩んでいるポ…

ホールド・オン

私の職場には大きく分けて三種類の仕事があって、最初はこれらをまんべんなく異動し、あるところから特定のひとつでキャリアを積んでいく感じになっている。いろんな仕事を体験できて楽しいだろうくらいに思っていたが、もともと種類の違う仕事なので、その…

ええと…

仕事で20人くらいの会合の司会をやったが、緊張してうまくできなかった。帰宅してやけ酒を飲んで居る。 準備をぬかりなくやり、本番も忠実に再現すればいいのに、変にアドリブを入れようとしてこんがらがり、絶句。 向き不向きがあるとはいえ、できたら克服…

すべてのことは

やさしくて魅力的な人達に囲まれて、都会の真ん中で小さく頑張っている魅力的な老舗ホテルで、幸福な時間を過ごすことができました。身に余る幸福です。これから色んなところへお返ししていきたいと思っています。

買い付け

夜の新宿駅といったら、家路に向かう人々が満載の列車というイメージだが、23時過ぎに1本、新潟行きの列車が出る。これに乗るときばかりは、新宿駅がまるで別に感じられる。国分寺で喫酒してきたこともあり、すぐ寝られるかと思ったが、同じ客車の誰かが高鼾…

ふと

気がついたら、年をひとつ重ねていた。これほどまでに感慨のあさい誕生日もない。 自分のことだけに関心を払っていればよいという環境ではなくなったからだろうか。 職場柄、今回の選挙の行方も気になるし、今月の家賃をいつ支払うかも忘れてはいけないし、…

ご報告

3月3日に戸籍の筆頭者となりました。世間の風にさらされながら、二人で生活しています。 独身時代と変わらない暮らしを心がけていきたいものの、精神の冒険が続く毎日です。

良い街

滝野川での生活は、今日でおしまい。 冷蔵庫と洗濯機と電子レンジを売り払い(全部で5000円だった)、引っ越し先に持って行く家財をどんどん段ボールに詰め込んでいった。 すると、部屋の元々の広さが感じられるようになってきた。 引っ越し作業には即断…

これはいったい?

部署は違うが同じ職場の先輩を交えた飲み会で、初めて親しくお話をさせていただいた20年程上の人。この人が心がけていることは、私、いや、俺がやろうとしていることの、さらに先の世界のことであった。その話を聞いていると、俺の中にある至らなさ、問題点…

「思はじと思ふも物を思ふなり 思はじとだに思はじきやきみ」

年賀状のアイデアがなかなかまとまらず、今までの人生で一番投函が遅くなってしまった。紅白歌合戦を横目にメッセージを書いている有様。 実家で大掃除をしていたときに、机から出てきたのが今まですこしずつ溜めてきた「ありがたいことが書いてあると思われ…

佳き思い出として

来年3月にJRのダイヤが改正され、寝台特急「はやぶさ」「富士」が廃止されることになった。夏頃にその事実を知らされてから、既に2回乗っている。いつから夜行列車に乗り出すようになったのか、もう覚えていないが、自分専用の車窓をずっと眺めていられる…

走って、休んだ件

滝野川に引っ越しても、たまにランニングをしている。宿舎の近くに公園があり、マラソンコースがあるので、それを使っている。初めて走ったときが仕事帰りの夜だったので、コースが暗くてよくわからんなと思っていたらコースアウトしていて、隣に面した自衛…

楽に寄す

音楽を聴いていると鳥肌が立つことがある。 「怪獣のバラード」は、いつ聴いても泣ける。 映画の挿入歌や、特定の状況と絡んでいた音楽なんかは、音楽だけ聴いても、それほど感動しないこともある。 この前サークルの先輩に招待された歌曲の演奏会でも、鳥肌…